変身
更新日:05.06.19 |
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先日、折り込み公告の求人を見ていたらこんな広告があった。
『短期バイト募集 T百貨店の御中元スタッフ』
・期間:6/12〜7/23までの短期です。
・給与:830円〜900円
・年令:18歳〜45歳
・シフト制
・制服貸与、研修アリ
★簡単なお仕事です
★お電話で説明会の予約をしてください。
以前は短期バイトであやうく悪徳業者に騙されるところだったが(第12話『悪徳バイト』参照)今回は大手百貨店だし大丈夫だろう、それにデパートの店員なんてステキじゃないか。予定もお金もない私は早速電話をかけて説明会に参加した。面接を受け無事に採用されることになった私は数日間の研修をうけることになった。研修では例の『45°腰を曲げるおじぎ』や『安心感を与える笑顔』、『発声練習』などあらゆることを教わったが苦にはならなかった。なんせ憧れの「デパガ」になれるのだから…゜・☆。・゜☆゜・
一生のウチやっておきたい職業がいくつかある。まずイラストレ−タ−、これは現在進行形でがんばっている。そしてキャバクラ嬢、これは年齢的に期限切れなので来世に回すことにした。そしてデパートの店員だ。制服を着て笑顔でお客様に品物をお勧めするのはかっこよいのだ! 接客のプロなのだ!是非やっておきたい職業なのだ!
いよいよ初出勤の日、普段家で絵ばっかり描いている私は半分腐っているファンデーションを塗りたぐって、慣れないヒールの靴をカポカポ言わせながらデパガになりきってみた。店内を観察すると今までのバイトとはやっぱり違う、みんな姿勢が凄く良いのだ。そして休憩時間…、私がこのバイトを始めるにあたって一番期待していた事がある。それは『デパートの店員はイイ男が多い』である! メンズの売り場のオニ−チャンなんかモデルばりにカッコイイではないか! デパートの休憩室に行けばそんなA男E男がウジャウジャいるに違いない!! 以前某◯井百貨店でバイトしていた妹も「休憩室なんかカッコイイ人でいっぱいだったよ!」と言っていたッ!!! 「ムフ。」私は鼻をならしながらA男E男のたまり場である食堂に向かった。
結果、いなかった。全然いないわけではないが妹が言うように「いっぱい」はいなかった。いたとしても200人に1人くらいの確率ではないだろうか…。毎日オニギリを食べながらA男E男を見て目の保養が出来ると思い込んでいた私はいささかやる気がなくなってしまった。まぁ考えてみれば当たり前だ、妹がバイトしていたのは若者向けのデパートだったのだ。私がバイトを始めたのはどちらかと言えばもう少し上の年代の女性をターゲットにした百貨店でメンズカジュアルA男E男向けのテナントは数店しか入っていないんだから…。「まぁいいか、ちょっとでも憧れのデパガになれたんだから」そんなことを思いながら隣のおっさんを眺めて毎日オニギリを食べるのだった。(←失礼)
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