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2003年4月1日/第9回
運命は生まれた時から決まっている
ある晴れた午後、私はいつもどうりとんかつやでのアルバイトを終え「今日はどんなイラストを描こうか」などと平和なことを考えながら地元の駅についた。いつもならまっすぐ帰るのだが、なんとなく…そう、なんとなくコーヒーでも飲んで帰ろうと思い駅前のドト−ルコーヒーに寄りつかの間のコーヒーブレイクを楽しんだ。コーヒーを飲みながら遠く福島に引っ越してしまった友人にメールを送ってみたらすぐに返事がきた。すぐに返事が来るのは嬉しいものだ。いかにも旨そうにコーヒーをすすってみる。「今日は良い日だな…」などと考えていると空席を探している老夫婦がいることに気が付き、飲みかけのコーヒーを一気に流し込んだ。 笑顔で「ここ空きますよ」と声をかけ席を立つ。こんな日は気持ちも優しくなる…。店を出ると外はまだ明るく、風はやさしく頬をなで気分をよりいっそう優しくさせる。携帯電話が鳴った。めったに電話のこない友人からだ。歩きながら少し話し、近道で通っている神社の前で電話を切った。

今日はなんだか機嫌もいい、財布に五円玉でもあったら賽銭でもいれていくのも悪くは無いだろう。…しかし五円玉は無かった。「アハッ五円ないや。御縁がなかったな」今日は御参りはやめて帰ろうと思い通り過ぎた。「まてよ、五円玉がないからっていっても『縁』=『¥』ってことだろ? じゃぁいくらいれても『¥』=『縁』じゃないか! 1円でも『縁』だ!」私は来た道を少しもどり財布にあった1円玉4枚を賽銭箱に入れ「4円だから良い(4?)縁がありますように」とお祈りをした。

実にすがすがしい気持ちで神社をあとにした。道路沿いにある畑や遠くに見える小学校をながめる。子供達が走るのが見える。さっき席を譲った老人はコーヒーを楽しんでいるだろうか?福島の友人は新しい仕事になれたようだった。めったに電話をかけてこない友人から電話がきたことも嬉しい。…なんて平和なんだろう。すべての時間の流れが良い方向に向かっているような気さえしてくるではな…「ぴしゃ」
「?」顔につめたいものが走った。とっさに服を見ると真っ白いシャツになにやら赤黒いものが流れている。続いて上を見上げると電線に小鳥がとまっている。
「クソだ!」私は小鳥のフンに直撃したのだ!しかもなぜか赤い…。不思議なことだが怒りや悲しみはいっさい湧いてこず、なにか別の大きなものを感じていた。


今日、私は駅からいつもと違うことをいくつかしている
(1)コーヒーを飲む
(2)遠い友達に突然メールを出したくなる
(3)珍しい友人から電話
(4)道を引き返してまで賽銭を入れる
このどれが欠けても小鳥の赤いフンに直撃することはなかったはずだ。ドト−ルで席を譲らずに普通にコーヒーを楽しんでいたなら…、五円がないので普通に帰っていたら…、いくらでも考えられる。
しかし私はこれら1〜4までのことをして、この小鳥の赤いフンに直撃したのだ老夫婦、引っ越した友人、電話をかけてきた友人、便意をもよおした小鳥、そしてこの私! すべての時間が一致したのだ!まさに運命!! 誰の仕業でもない。もしかりに誰かの仕業だとしたら…それは神だろう。そんなことを考えながら私は顔とTシャツについた小鳥のフンを拭った。(しかし何故赤いのだ 木いちごでも食べたか?)

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