変身
更新日:05.06.19 |
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どこの銀行にも案内係という人がいる。順番待ちの札が出てくる機械の横あたりに立ち、お客様の御用件を聞いて案内をしてくれる人である。先日、ある銀行に口座を作りに出掛けた。順番待ちの札を取ろうとしたら案内係の化粧の濃いおばちゃんがサッと寄ってきて「いらっしゃいませ!本日はどういった御用件でしょうか?」と言ってきた。その瞬間、「ウッ臭い!」と声が出そうになるほどの息の臭さである。普通に臭いのではなく「クラッ」とくるくらいに臭いのだ。
あまりの臭さにたじろぎながら「新規で口座を作りに…」と言って札を取ろうとしたら、そのおばちゃんに先に札を取られてしまった。おばちゃんは私をテーブルに案内して色々な書類を持ってきて説明しはじめた。あまり呼吸をしたくなかったのでずっと下を向いて聞きながら書類を書き込んでいたのだが、覗き込んで説明をし始めたので逃げ場がなくなってしまった。
「どうしよう…」息が出来ないので書類に集中できず、ただでさえ汚い字がますます汚くなっている。
こうなったら早く書き込んで窓口に向かうしかない、ところが何故かこのおばちゃんは新規口座開設に関係ないような説明までし始めた。「ウ−たまらん…」と思いながら説明を聞いていたが、あまりに先のプラン(マイホームを作る時のローンとか)まで話し始めたので「今の所は給料の受け取りだけなんで…マイホームは考えられないですね〜アハアハ」と言って話しを切り上げようとしたが全く聞き入れてはくれない。おばちゃんは異臭をまき散らしながら「お客様のようにお若い方のプランも色々あるんですよ!例えばこれなんか…」と話は続く。このままでは窒息してしまう!
なんとかこのおばさんから一刻も早く離れなければ…。書類が書き終わったので「出来ました!」と言って窓口に案内してもらおうと思ったがおばさんは私を離してくれない。おばちゃん曰く、今空いている窓口の人がもう少しで休憩に入るところで、私を窓口に連れていくと休憩時間に入り込む形になり都合が悪いというようなこと言ってきた。普通そんなこと客に言うか?他の窓口が空くまでおばさんの話を聞けと言うのか?さっきから関係ない説明までしていたのは足止めだったんだな!結局おばさんの作戦は失敗に終わり、窓口にいたオネーサンは「仕方ないわね!プンプン!」みたいな顔をして「コチラへどうぞッ」と言ってきた。オネーサンの休憩時間を潰す形になってしまった私はようやく毒ガスから解放された訳だが、何故か申し訳ない思いをしながら口座を作ることになってしまった。なんでこんな思いをしなければならないのだ!あーついてない日だった、プンプン。
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